今週の感想

ここはチラシの裏、もしくは壁だ

「横溝正史短編集 金田一耕助登場!」+α見たよ

タイトルの付け方が完全に90年代特撮ビデオのノリだからちょっと笑う

あと横溝正史は掠ってもいないので全部初見

あと例によって見てない人には分からん感じになってるけどご愛敬です

今回は「黒蘭姫」「殺人鬼」「百日紅の下で」の3本でした

特に面白いなーって思ったのは「殺人鬼」かな

順に言ってくと「黒蘭姫」は百貨店で起こった万引き殺人事件の容疑者である黒いヴェールを被った女、通称黒蘭姫に纏わるあれやこれやがあるんだけど30分しかない関係上宝石売り場の主任と黒蘭姫の関係があっさり流されていくから事件の構図が想像しやすい割には淡々と話が進んでいってちょっと物足りなかった

「殺人鬼」は義足の男にストーキングされてる女と出会った小説家の男とのあれやこれやだけど構図が二転三転くらいするからどこに落ち着くのか読めなくて楽しかった

小説家が何者かに襲われてからの流れがとても好き

実は初対面の時に交わした会話が犯人を示していたというか暗示していたみたいになってるのも良い

今のところ横溝作品は伏線貼りというかお話を作るにあたって開示した方がいい情報をしっかり見せてから終盤に入るからかなり気分良く見れる

百日紅の下で」は言伝を頼まれた金田一耕助とその相手が昔に起こった事件を回想しながら真相を紐解いていくみたいな感じだけど事件そのものがあまり魅力的でないのでそこまで面白くなかったかな

幼女を養女にして俺好みの女に育てて美味しく頂いちゃうぜーって件をちょっと官能的かつギャグっぽく描写してたのは江戸川乱歩短編集の時みたいな雰囲気で良かった

おっさんが過去に起こった事件のあらましを喋った後で予め真相を知ってる金田一耕助が実はこれこれこうでしたって言う形式だからイマイチ燃えないってのも大いにある

って感じで見た後に勢いで1976年版「犬神家の一族」も見たけどこれ超面白かった

佐清と静馬の関係に一瞬で気付ける構成になってるから綺麗に引っ掛かった

こういうもう一捻りがある作品は本当に少ないから見た時の感動も一入です

署長やホテルの女中さんの朗らかさというか緩さも凄惨な連続殺人を中和してて見易さに一役買ってた

令和まで語り継がれるだけあったな

定期的に見ていい作品